各施設ニュース News

  • HOME
  • 各施設ニュース
  • 薬剤難治性パーキンソン病に対するMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)を実施 ~保険収載後では国内初~
2020/10/12
名古屋共立病院

薬剤難治性パーキンソン病に対するMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)を実施 ~保険収載後では国内初~

9月1日に保険収載された薬剤難治性パーキンソン病に対するMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS=MR guided Focused Ultrasound)の1例目を9月3日に名古屋共立病院にて実施しました。パーキンソン病に対するMRgFUSが可能となったことにより、患者様にとって身体への負担が少ない、新たな治療選択肢が加わったことになります。

パーキンソン病とは

中脳の黒質ドーパミン神経細胞の減少に伴う進行性の神経変性疾患で、特定疾患(難病)に指定されています。振戦(ふるえ)、固縮*1、無動*2といった運動症状以外に、便秘や頻尿、うつ傾向や不眠などの精神症状、認知症状などの非運動症状があります。 *1:手足の筋肉がこわばる. *2:手足が動かしにくい

治療について

治療の基本はドーパミンを薬で補う薬物治療ですが、長年の内服により身体の一部が無意識に動いてしまうジスキネジアや、強直するジストニアという症状が出現してくることがあります。薬剤でコントロールできず生活の大きな支障となる場合、これまでは脳内に凝固針を挿入して一部を凝固する定位的高周波凝固術や、脳内に電極を移植して慢性的に刺激する脳深部刺激療法(DBS)が選択肢となりましたが、最近開発された、頭部に切開を加える事のない超音波による治療=MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)がパーキンソン病の新しい治療として加わりました。脳内の視床または淡蒼球を標的とし、振戦・固縮・ジスキネジア、ジストニアなどの運動症状の緩和が期待されます。

MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)について

MRIとヘルメット型の集束超音波治療機器を用い、原因となっている脳内の標的部位を55℃前後に加熱し凝固することで、メスを使わずに治療することができます。平均的な治療時間は3~4時間程度、入院期間は治療日を含め2泊3日です。当院では2017年7月に中部地区で初導入し、これまで本態性振戦に対するMRgFUSを70例(2020年8月末現在)実施しており、国内トップクラスの症例数を誇っています。なお、当院での診療は名古屋大学脳神経外科と連携しながら行っております。

PDFはこちら