導入・保存期

高齢者でも透析治療を行えますか?

高齢の方でも透析治療を受けることは可能です。実際、日本では透析患者さんの約6割が65歳以上で、平均的な導入年齢は70歳前後です(2025年現在)。透析を受けながら、元気に日常生活を送っている高齢の方も多くいらっしゃいます。医療機関では安心して治療を続けられる体制を整えています。

透析には「血液透析」と「腹膜透析(CAPD)」の2つの方法があります。どちらも腎臓の働きを補う治療法で、患者さんの体調や生活スタイルに合わせて選ぶことができます。

血液透析について

血液透析は週に3回、医療機関に通って行う治療です。1回の治療は約4時間で、ベッドで過ごしている間に機械を使用して血液を浄化し、余分な水分を除去します。高齢の方は心臓の働きが衰えているため、治療中に血圧が下がることもあります。また、認知症のある方の場合は、針を抜いてしまうなどの心配もありますが、医療現場では安全に治療を続けられるよう、医療スタッフが常に観察と声掛けや体調確認など細やかな配慮をおこない、安心して治療を続けられる体制を整えています。

腹膜透析(CAPD)について

腹膜透析はご自宅で行える治療法です。通院の負担が少なく、生活の自由度が高いのが特徴です。お腹に透析液を入れて老廃物や余分な水分を除去します。ご自身で操作が難しい場合は、ご家族や訪問看護師のサポートを受けながら治療を続けることができます。
夜間に機械で自動的に透析を行う「APD」という方法もあり、日中の活動に支障が出にくいというメリットもあります。最近では、遠隔で状態を確認できるシステムも整ってきており、安心して在宅治療を続けられる環境が広がっています。

どちらの治療法が良いかについて

血液透析と腹膜透析のどちらが良いかは、患者さんの体調や生活環境、ご希望によって異なります。それぞれに良い点がありますので、ご本人の気持ちを大切にしながら、ご家族や主治医とじっくり相談して決めていただくことが大切です。

透析治療を始めることになりました。腹膜透析と血液透析で迷っています。
治療を始めると塩分制限はもっと厳しくなりますか?

腹膜透析と血液透析 どちらの治療が合ってるの?

腹膜透析と血液透析には、それぞれにメリットや注意点があります。
生活スタイル、通院のこと、体の状態、ご本人の希望、ご家族の支援体制などを総合的に判断をし、納得のいく選択をするこ とが大切です。
血液透析と腹膜透析の違い→導入・保存期Q&A「高齢者でも透析治療を行えますか?」をご覧ください

不安なことや気になることは、遠慮なく主治医や看護師に相談してください。
ご自身の気持ちを大切にしながら、納得のいく選択ができるように、一緒に考えていきましょう。

透析を始めると塩分制限は厳しくなるの?

透析を始めるということは、その時点で腎臓の働きがすでに低下していることを意味します。
たとえ尿量がある透析導入初期であっても、塩分の過剰摂取は体液バランスの乱れや高血圧、心臓への負担を引き起こす可能性があります。
そのため、塩分制限は透析の有無や尿量の多少に関係なく、腎臓と心臓を守るための基本的な対策として重要です。