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6.認知症対策|6つの強み|偕行会グループの透析医療
偕行会の透析 6つの強み

6.認知症対策

各透析施設でのスケール検査やグループ病院での精密検査により、認知症の早期発見・鑑別診断が可能となり、適切な治療に繋げられます。

透析患者様の認知症発症率

透析患者の平均年齢は69.67歳(2021年末時点)で、年々高齢化が進んでおり、認知症を発症している患者様も少なくありません。日本透析学会による調査では、65歳以上の6人に1人の透析患者様が認知症を発症していると報告されています。

図1:透析患者様における65歳以上の認知症割合

わが国の慢性透析療法の現況(2018年12月31日現在)より作図

認知症あり15%、認知症なし85%

認知症の種類

認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、レビー型小体病などがこの「変性疾患」にあたります。続いて多いのが、脳梗塞、脳出血など脳の血管障害のために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。その他にも正常圧水頭症や、慢性硬膜下血腫など認知症をきたす疾患は多くあります。
偕行会グループの調査では、透析患者様の特徴として、脳血管性認知症が多い可能性が示唆されています。

認知症の原因となる病気
アルツハイマー型67.6%、脳血栓症19.5%、レビー小体型4.3%、その他8.6%

出所:厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」
平成23年度〜平成24年度 総合研究報告書(PDF)

早期診断の重要性

治る認知症を見つける

認知症を引き起こす病気のなかでも治療可能なものもあります。
初期であれば、完治する可能性もあります。(硬膜下血腫や正常圧水頭症など)早めに受診をして原因となっている病気を突き止められれば、適切な治療を行うことができます。

進行を止められる認知症を見つける

脳血管性認知症は、薬物療法など適切な治療を行うことで、進行を止められる可能性があります。
脳の細胞は一度死んでしまうと戻ることはありませんが、原因となっている症状に対し、適切な治療をおこなえば、認知症の進行は止めることができます。

治らない認知症の場合は、早期治療で進行を遅らせる

アルツハイマー型認知症は早い早い段階からの服薬等の治療を受けることで、進行をゆるやかにすることが可能といわれています(下図参照)。
服薬による効果は個人差がありますが、以下のグラフのような効果が得られる場合もあります。早期発見・早期治療により、良い時間を長くすることができます。

アルツハイマー型認知症の進行例
図:認知症を発症しても、医療機関を受診することで受診しなかった場合よりも脳機能低下までの時間を長くすることができる

偕行会グループにおける認知症の早期発見の取り組み

偕行会グループでは、転入時や誕生月での定期的なスケール検査を行っています。また、週3回顔を合わせる職員だからこそ感じ取れる異変があった場合にも、臨時的なスケール検査を行い、早期に適切な治療へ繋げられる仕組みを構築しています。

各透析施設

簡易診断/長谷川式認知症スケール検査(HDS-R)

長谷川式認知症スケール検査とは、認知症をスクリーニングすることを目的に用いられる簡易的な認知機能テストです。記憶を中心とした大まかな認知機能障害の有無を調べます。30点満点で構成され、20点以下だった場合、認知症の可能性が高いとされています。
偕行会グループでは21点をカットオフ値(境界値)と定めています。

偕行会グループ
長谷川式認知症スケール検査の統計(2022年4月~2023年4月)
円グラフ:21点以下30.3%、22点以上69.7%
  全体 P値
総数 710 442 268  
年齢 77.3
±7.8
76.9
±7.4
77.9
±7.4
0.07
透析歴 6.95
±6.95
7.06
±7.17
6.76
±6.58
NS
HDS-R 23.1
±6.0
23.1
±5.7
22.9
±6.5
NS

認知症の疑いがある場合には

名古屋共立病院

精密検査/VSRAD(ブイエスラド)

SPECT装置で検査を受けている女性

VSRAD(ブイエスラド)とはMRI画像のコンピュータ解析を行い、脳の萎縮度を調べることで認知症の可能性をテストする検査です。
アルツハイマー型認知症に特徴的な脳の萎縮の程度を数値で表し、早期発見につながります。

※VSRADはあくまで画像検査を支援するプログラムであり、解析結果のみで診断を下すことはできません。

偕行会城西病院

鑑別診断/脳SPECT検査やMRI検査

SPECT装置で検査を受けている女性

認知症の有無、原因疾患、重症度などを見極めるための診察を行います。脳の形を見る検査(MRI)や脳の働きを見る検査(SPECT)を行います。SPECT検査では、脳の各部における血流状態や脳の働きを診ることができ、早期の脳血流障害の検出や脳の機能評価などに有効です。