各透析施設では、定期的な検査や日々の細かな観察により、合併症の早期発見に努めています。
また、名古屋共立病院をはじめとするグループ内施設、地域の基幹病院との連携・協力体制により、
専門的な検査・治療にも対応しています。
透析施設での検査
基礎体重を決めるために、月に1回胸部レントゲン撮影を行います。主に心臓の大きさに変化がないか、肺に水が溜まっていないかを調べます。また、肺がんや肺炎などの胸部疾患が発症しているかどうかの検査も行います。
超音波を用いてシャントに流れている血液の量・走行・狭窄の有無などを検査します。
シャントを3次元にとらえることができ、血管内部の状態やシャント機能が正常かどうかを把握することが可能となります。
透析がうまくいっているか、生活習慣の管理と食事療法などで水分や塩分のコントロールができているかを
定期的な血液検査でチェックしています。
足と腕の血圧の比をABPIといいます。
上肢と下肢の血圧を測り、その差を見ることで下肢動脈血管の評価を行う検査を施行して末梢動脈疾患(PAD)の早期発見に努めます。
定期的に心電図の検査を行います。波形の変化を読み取り、必要に応じて名古屋共立病院などで詳しく検査をして心疾患の早期に発見します。
偕行会グループの病院での検査
CTやMRI、エコーなどの検査機器を組み合わせ、一種類の検査機器では発見できないような病変も
高い精度でチェックします。
こうした最新医療設備の複合的な使用により、信頼性の高い検査を実現しています。
CT検査
X線を使って身体の断面を撮影します。
写真の精度は高く、様々な病気の発見に役立ちます。
どんな病気が判明?
■脳梗塞
■脳出血
■肺癌
■肝臓癌 など
MRI検査
X線ではなく、大きな磁石を使って身体を撮影する検査。
検査縦、横、斜めとあらゆる方向から撮影できます。
どんな病気が判明?
■脳梗塞
■脳出血
■骨の骨折
■椎間板ヘルニア
■肝臓癌 など
心臓カテーテル検査
カテーテルと呼ばれる細長い管を使って、心臓の動きや血管が狭くなっているかどうかを調べる検査です。
どんな病気が判明?
■狭心症
■心筋梗塞
■心不全
■不整脈
■大動脈の病気 など
腹部エコー検査
腹部に超音波を当てて、その反射波をコンピューターで画像処理します。 内臓や腸管の動きを観察するのに使われます。
どんな病気が判明?
■胆石
■肝臓癌
■膵臓癌
■腎結石
■虫垂炎 など
アンモニアPET検査
微量の放射線を出す薬品(アンモニア)を注射して、心臓に流れる血液 の量を測る検査です。
どんな病気が判明?
■狭心症 ■心筋梗塞 ■心不全 など
PAD(末梢動脈疾患)は、足の動脈に硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりすることで、下肢の血液の流れが悪くなる疾患です。
なかでも病状が重症化することを、重症下肢虚血と呼びます。
透析患者のPADには下記のような特徴があり、特に注意が必要です。
透析患者のPAD(末梢動脈疾患)症状
ひざ関節より先の細い動脈に病変があり、石灰化していることが多い
潰瘍・壊死・感染等、重症化した状態で発見されることが多い
重症化すると、足の動脈の手術や下肢切断をする必要がある
糖尿病を合併していると再発率が高く、下肢切断の可能性も高い
心筋梗塞や脳梗塞等を合併しやすい
偕行会グループでは、PADの検査・治療に専門的に取り組んでいます。
その治療方法には、薬物治療や血管内治療のほか人工炭酸泉治療や運動療法も導入しており、その治療効果を上げています。
薬物治療
高血圧、糖尿病など動脈硬化の原因となる
病気の治療 など
血管内治療
バルーン、ステントによる治療 など
外科的血行再建治療
血栓内膜摘出術、バイパス手術 など
その他
運動療法、人工炭酸泉治療 など
透析患者のうち、心不全や心筋梗塞等心臓の疾患でお亡くなりになる方は約3割と非常に多くいらっしゃいます。
透析患者はより良い生活を送るため、心臓にも注意を向けることが非常に重要です。
年別死亡原因の推移(日本透析学会2015「 わが国の慢性透析療法の現況」より)
冠動脈に狭窄や閉塞が存在する場合には、狭心症の原因になる以外にも心筋梗塞を発症して命に関わることが起こる可能性がありますので、何らかの方法で狭窄や閉塞の治療が必要です。狭窄の程度が軽い患者は薬物治療が選択されます。カテーテル治療は局所麻酔で治療が可能なため、入院期間も短く済みます。
心臓カテーテル治療は、冠動脈の狭くなった部分を風船やステント(金属の網)を用いて拡張したりして、血流を再確保する治療方法です。検査同様、手首、肘、又は足のつけねの血管からカテーテルを挿入して行われるため、患者の負担を最小限に抑えます。また、この治療は1泊2日や2泊3日の短期入院で行えるという大きなメリットがあります。
バルーン療法
バルーン療法とは、冠状動脈のつまりかけている部分をバルーンで拡張し、血流を改善する治療法を言います。
この治療法は手首、肘、又は足のつけ根からカテーテルを通して、つまりかけた部分でバルーンを拡張します。入院日数も数日で痛みも比較的少ないため現在もっとも一般的に行われている虚血性心疾患の治療法です。
ステント療法
バルーン療法を行った後も病変部がきれいに拡張できないことがあります。そのまま放っておくと再びつまる可能性が高いため病変部に冠状動脈ステントと呼ばれる金属の網を入れて補強し、再びつまるのを予防します。ステントの留置方法はバルーン療法と同じような過程で行われます。
バスキュラーアクセスは、血液透析を行うためになくてはならない命綱と言えるものです。バスキュラーアクセスを長持ちさせることが、患者様QOL(生活の質)向上にもつながります。バスキュラーアクセストラブルには、症状に合わせて内科的治療、外科的治療を選択し治療にあたります。また、経験豊富なバスキュラーアクセスの 専門医による、細やかな検査・トラブルの早期発見・治療体制が整っています。