診療科・部門

名古屋放射線外科センター

概要

名古屋放射線外科センターでは、2004年2月よりガンマナイフ(エレクタ社)を導入し、脳病変の放射線外科・定位放射線治療(stereotactic radiosurgery)を、また2006年7月よりノバリス(ブレインラボ社)を導入し、頚部以下の体幹部も含めた全身の定位放射線治療(shaped-beam surgery)を行っています。定位放射線治療は、切開することなく病変部のみに放射線を集中させ、健常部にはほとんど当てずに治療する画期的な方法です。従来の全身麻酔、切開などのリスクなしで、外科手術と同様の効果があります。特に当初からガンマナイフによる脳病変の治療に対する有効性が示され、現在までに世界で数十万人、日本で数万人の患者様が治療を受けられています。特に効果の高い脳転移では治療の有効性が90%という結果が得られています。最近では、当院のノバリスのような全身に適応できる定位放射線治療機が開発され、身体各部の腫瘍などの病変に対する治療が行われその効果が示されています。

ガンマナイフ・アイコン(Icon™) ※エレクタ社(Elekta)

ノバリス(Novalis) ※ブレインラボ社(BrainLAB)

放射線外科(定位放射線治療/Radiosurgery)とは
身体の病変部に集中して大量の放射線を当てて治す治療です。特に脳疾患の治療で始まりましたが、最近ではそれ以外の部位の治療も始められています。 用いる放射線としてはガンマ線、X線、粒子線等がありますが、コバルトから出るガンマ線を用いたガンマナイフ(エレクタ社)による治療実績が多数示され、放射線外科の有効性が確固たるものとなりました。 ガンマナイフは脳病変の専用機であるため、名古屋放射線外科センターでは体幹部含めた全身治療機としてはノバリス(ブレインラボ社)を用いています。ノバリスは病変の形に合わせてX線を集中して全身の疾患を治療することができます。
ガンマナイフによりガンマ線を集中してできた4×6mmの壊死巣の写真です。このように、メスを加えることなく放射線を集中して当てることにより、ねらった病巣を除去することができます。

特徴

中部地区初! ガンマナイフの最新機種「Icon™」導入
名古屋放射線外科センターでは、2004年2月よりガンマナイフ「typeC」を導入し、脳病変に対する定位放射線治療を行ってきました。これまでのべ7,000件以上(2016年12月現在)のガンマナイフ治療の実績があります。
今回、患者様に対しより安全で負担の少ない、高精度な放射線治療を目指して2017年5月に中部地区で初めてガンマナイフ「Icon™」へとバージョンアップいたしました。
ガンマナイフ「Icon™」は、ガンマナイフでは初めてマスクシステムを導入。
これにより、従来のフレーム固定に加え、身体に負担の少ないマスクで顔を覆った治療を行うことが可能*となったほか、分割照射による治療を容易に行うことができるようになりました。
また、リアルタイムモニタリング機能も追加され安全性も向上しました。
*マスクシステムでの治療適応の可否については医師の判断によります。
全身定位放射線治療機ノバリス
ノバリスは全身の定位放射治療を目的に開発された専用システムです。
頭頚部はもちろん、全身の治療が可能です。
高精度に高線量の放射線(治療用X線)を腫瘍に集中して照射することができ、病巣だけを狙い撃つため正常組織への影響を最小限にすることができます。
1回の治療時間は短く、低侵襲性(身体の負担が少ない)であり、通院治療が可能なため患者様への負担が軽く、手術が困難な場合の代替療法として用いることもできます。
【ノバリスの特徴】
ガントリー(放射線出口)に装備された幅2.5mmのマイクロマルチリーフコリメータを駆使して腫瘍の形に合せて放射線照射します。また、X線位置確認システムと赤外線追跡システム(ExacTrac)により、患者様の位置を0.1mm単位で照合して狙いどおりに高精度に照射治療します。
【放射線の集中治療方法】 多方向からの照射(マルチビーム照射)、円弧状の照射(マルチアーク照射)によりターゲットに放射線を集中照射します。また、必要に応じてIMRT(強度変調照射)を組合せて放射線照射分布を最適にします。
受診・治療の流れ
1.外来受診
病状、検査所見から治療が適切に行えるかどうか専門医による診察を行い、治療スケジュールを決定します。現在、治療を受けていらっしゃる担当医の先生からの紹介状、CTなどの画像をお持ちいただき、詳細に検討いたします。
2.治療準備

治療部位に応じた固定具を作成します。
作成時間は20~30分程度で、作成時に痛みなどは全くありません。
同時に治療計画用のCTを撮影し、必要に応じてMRI、PET撮影も行います。

頭頚部固定ネット

体幹部用固定装置

3.治療準備
(患者様がご自宅で過ごされている間に当院スタッフが行う作業です)
腫瘍の部位、大きさに合わせて最適な照射法を決定します。そして治療計画通り実際に照射されることを模型(ファントム)を使ってテスト確認します。治療計画の作成と検証に時間を要するため治療は数日後から開始します。
4.治療開始
1回の照射は20~30分程度で終了し、痛みを伴うことはありません。
1日1回の照射で治療期間は照射回数によって決まります。
腫瘍の種類に合わせて数回から十数回の照射を行います。
5.経過観察
治療が終了しても放射線治療の特性上、すぐに効果は現れません。担当医による経過観察が必要です。
※保険適応以外の疾患は自費治療となりますが、強度変調放射線治療(IMRT)による体外照射の保険適応となる場合もあります。