診療科・部門

人工関節センター
肩・膝・スポーツ関節鏡センター

概要

人工関節センターおよび肩・膝・スポーツ関節鏡センターでは、肩・膝などの関節疾患を中心に診断や治療を行っています。特に関節鏡手術、高位骨切術(HTO)人工関節置換術(TKA)に力を入れており、学生さんから高齢の方まで関節の痛みのために辛い思いをしている方が明るくなれるような治療が出来るよう全力を尽くしています。
手術は関節鏡による低侵襲治療を積極的に取り入れています。また人工関節置換術においても痛みの低減につとめ、患者様への負担を最小限にすることで、術後のリハビリの早期開始、早期退院、早期社会復帰を目指しています。患者様の症状だけでなく年齢・生活習慣・職業等を十分に考慮し、患者様のQOLを高めることを最終目標として、患者様個々に応じた最善の治療法を選択しています。
関節の痛みに悩んでいても「放っておけば治るだろう」「年になったから痛くなったんだ」と自己判断し、民間のマッサージや接骨院などに通い、適切な診断を受けない患者様が多くいらっしゃいます。
マッサージや接骨院などでの施術が有効な患者様も多くいますが、専門医の適切な診断を逃したことによって後々重大な疾患が悪化してから発見されるケースもみられます。
しかし、専門医が早期に適切な診断・治療を行うことで保存治療で済むケースや、手術治療を行う場合でも身体への負担の少ない手術を選択することも出来ます。
専門外来の役割とは、関節の痛みに関する諸症状でお困りの方に対して正確に診断し、治療方針を導き出すことです。 的確な診断と最先端の医療技術を導入した最善の高度専門医療を提供してまいります。

特徴

治療方針
何に困っているか、痛みがあるか?動かないのか?どのようなときに痛むのかなどを外来でしっかりと伺い、病態と患者様の希望に沿った治療方針を検討します。
  • 機能的診断で困っているポイントを見極めます。
  • 必要に応じてレントゲンやMRIなどの検査を行い、患者様の病態の診断を行います。
    (ほとんどの患者様は最初に専門の職員によるリハビリを行います。今後の経過を診ていく上で重要です)
  • 保存的加療で改善が見られなかったり、診断時点で重篤な場合などには手術治療を勧めます。
手術について
だれでも手術は不安に感じるものです。そのため、当院では患者様の不安を最大限取り除くことが出来るよう丁寧で詳細な説明を心がけています。
また、手術後の痛みや動けないストレスは最小限に抑えたいと考えており、痛みゼロの手術を目標としています。

当院での手術は原則全身麻酔で行っています。眠っている間に手術が終わるので手術中に一切我慢することがなく、精神的にも負担が少ない麻酔です。手術中は麻酔科専門医が麻酔を行い、手術は関節専門医が行います。
痛みゼロの手術を目標としている当院の特徴として、全身麻酔と併用して局所神経ブロック麻酔を留置していることが挙げられます。局所神経ブロック麻酔は、手術する部位を支配している神経の近くに麻酔薬を手術中からリハビリ中も持続的に投与することで痛みを最小限に抑えます。
また、従来の硬膜外麻酔のように手術しない部位まで麻酔が及ぶことがないので手術翌日からリハビリを開始することができます。手術の内容によって局所神経ブロック麻酔を続ける期間を決めていますが、概ね手術後2日間が最も痛みが強い時期なので、その期間の痛みをしっかり抑えることで脳での痛みの感じやすさを正常化させることができます。手術後の痛みが少ないと治りが良いという報告も増えてきており、『手術をしたから痛みがあるのは当たり前!』ではなく、『手術をしたけど、麻酔をしっかりしているから痛みがないのが当たり前!』と患者様から言われるように工夫を重ねていきたいと考えています。 また、麻酔だけで痛みのコントロールが不足する場合は、副作用の少ない注射や内服薬を追加して痛みを更に抑えることが可能ですので、痛みを我慢せず遠慮なくお申し出ください。
手術実績

膝の疾患

疾患 治療法
半月板損傷 関節鏡視下半月板切除術、関節鏡視下半月板修復術
前十字靭帯損傷(ACL損傷) 関節鏡視下前十字靭帯再建術(ACL再建術)
内側側副靭帯損傷(MCL損傷) 関節鏡視下内側側副靭帯再建術(MCL再建術)
後十字靭帯損傷(PCL損傷) 関節鏡視下後十字靭帯再建術(PCL再建術)
反復性膝蓋骨脱臼 関節鏡視下MPFL再建術
骨軟骨損傷 関節鏡視下培養軟骨移植術(再生医療)、骨軟骨柱移植術
半月板変性、軽度の変形性膝関節症 関節鏡視下半月板切除術、関節鏡視下半月板修復術
内反膝・軽度の変形性膝関節症・骨壊死 脛骨高位骨切り術(HTO)+関節鏡視下半月板手術
内側の変形性膝関節症 UKA(人工膝関節片置換術)
高度の変形性膝関節症 TKA(人工膝関節全置換術)

肩の疾患

疾患 治療法
反復性肩脱臼 関節鏡視下Bankart修復術(ABR)、
関節鏡視下Bankart-Bristow術
拘縮肩 関節鏡視下受動術
腱板損傷・腱板断裂 関節鏡視下腱板修復術、関節鏡視下関節包再建術、
リバース型人工肩関節(RSA)
変形性肩関節症 人工肩関節(TSA)、リバース型人工肩関節(RSA)

股の疾患

疾患 治療法
変形性股関節症 人工股関節置換術(THA)
リハビリについて
整形外科疾患の治療には適切なリハビリがとても大切です。
医師の診断の元、疾患の状態に応じたリハビリを選択し、専門の学療法士、作業療法士が高度で専門的な質の高いリハビリテーションを提供しています。
手術が上手くいっても、術後のリハビリが上手くいかないと理想の結果には繋がりません。手術、リハビリが共に上手くいってこそ理想の結果が得られます。
そのため、スタッフ個々の自己研鑽による技術の習得だけでなく定期的に講師を招き実技講習会を行って、最新の技術の習得や症例にあった施術技術指導を行っています。また外部講師による運動器リハビリ勉強会を行い最新の知見を習得するなど、療法士が日々努力を重ねて患者様に適切なリハビリを受けていただける体制を整えております。