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4.人工炭酸泉療法|6つの強み|偕行会グループの透析医療
偕行会の透析 6つの強み

4.人工炭酸泉療法

患者様の足を守るため、下肢の血流改善が期待される
高濃度の人工炭酸泉療法を取り入れています。

人工炭酸泉療法とは

炭酸泉とは、炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯のことです。炭酸ガスが皮膚の毛穴から吸収されると、血管が拡張し、血流が改善します。温泉法では、250ppm(お湯1リットルに炭酸ガスが0.25g溶けたもの)が炭酸泉と定義されており、その中でも1,000ppm以上が高濃度炭酸泉とされています。治療として使用するには高濃度炭酸泉が必要です。

毛細血管を広げ血流を活性化
  1. 01炭酸ガス(重炭酸イオン)は皮膚を通過する非常に小さな分子で、簡単に皮膚内を通過し毛細血管内に入ってきます。

  2. 02毛細血管は、進入してきた炭酸ガス(重炭酸イオン)を老廃物とみなし、洗い流そうとします。

  3. 03進入してきた炭酸ガス(重炭酸イオン)を洗い流すため、血管を広げ、酸素を多く送り込みます。

  4. 04酸素が多く送られることにより、血流を活性化します。

足浴中の血流量
折れ線グラフ:38度の水道水に比べ、38度の炭酸泉では3倍程度(5ml/min/100g)の血流増加が得られる。

透析患者様に対する人工炭酸泉療法の意義

透析患者様はPAD(末梢動脈疾患)の合併率が高いことから、四肢の切断率も高くなっています。PAD を重症化させないための治療として、人工炭酸泉療法が有効であることが、研究結果から分かっています。

FontaineⅣに対する人工炭酸泉療法の救肢成績

※FontaineⅣとは…PAD(末梢動脈疾患)の中でも最も重傷とされる潰瘍や壊死がある状態を表します。

救肢率
円グラフ:救肢率83.1%(83例中69)切断レベル 大腿6例(7.2%)、下肢8例(9.6%)
患者背景
総数 68
肢数 83
性別(男/女) 43/25
年齢(歳) 67±12
透析n(%) 41(60.3%)
合併症n(%) 糖尿病 38(55.9%)
虚血性心疾患 53(77.9%)
脳血管疾患 40(58.9%)
切断の既往n(%) 12(17.6%)

人工炭酸泉足浴頻度:2回/日 2か月以上
偕行会グループ68例の調査結果

重症のPAD(末梢動脈疾患)に対し、炭酸泉治療を行うことで、下肢の切断を8 割以上も回避できています。
足をまもるためには、血流を改善することが大切です。

炭酸泉の様々な効果

冷え性・心不全・身体機能の改善など様々な効果が期待されています。

冷え性の改善や保湿力の効果

炭酸泉の保温効果は通常の入浴に比べ3倍高く、炭酸泉終了後も長時間持続します。

サーモグラフィーによる皮フ温の変化の一例  

名古屋共立病院データ

  1. サーモグラフィ写真。足先の皮膚温度が低い

    炭酸泉前

  2. サーモグラフィ写真。足全体の皮膚温度が高い

    炭酸泉足浴10分後

  3. サーモグラフィ写真。足全体の皮膚温度が高い状態を保っている

    炭酸泉足浴95分後

心不全に対する効果

末梢の血管が拡張することで、心臓の負担が減少し、心不全に伴う息切れや苦しさの症状が緩和されます。
不整脈を減少させる効果も確認されています。

  • 拡張障害指標(E/e’)

    折れ線グラフ:18.4から16.5に減少
  • 心不全の重症度指標(BNP)

    折れ線グラフ:643から443に減少

(偕行会グループ 10例の調査結果)

採血や超音波検査からみた心不全の指標が2週間の炭酸泉で改善
(炭酸泉全身浴)

身体機能に対する効果

炭酸泉前後で歩行能力やバランス能力が改善することが確認されています。
炭酸泉は運動と同様の効果が得られ、転倒予防効果も期待されます。

  • 10m歩行時間(歩行能力)

    棒グラフ:p<0.01 炭酸泉前…約9.1秒→炭酸泉後…約8.5秒
  • 片脚立位時間(バランス能力)

    棒グラフ:p<0.05 炭酸泉前…約49秒→炭酸泉後…約49.5秒

(偕行会グループ18例の調査結果)

1回の炭酸泉で歩行能力やバランス能力が改善

免疫力改善の効果

血流量が増えると深部体温が上昇し、免疫力が上がると考えられています。免疫細胞の一つに、体内に侵入したがん細胞やウイルス感染細胞をいち早く攻撃する「ナチュラルキラー(NK)細胞」がありますが、41.5℃・15分の炭酸泉浴で、このNK細胞が活性化されることが確認されています。

炭酸温水入浴後のNK細胞活性の変化
折れ線グラフ:41.5度・15分の水道水浴、湯に入らないグループに比べると、41.5度・15分の炭酸水浴を行ったグループは1日後、2日後にNK細胞が活性化されている

人工炭酸泉研究会雑誌/1巻(2019)より引用

皮膚疾患に対する効果

肌の保湿が改善し、透析患者様特有の悩みである“かゆみ”などの症状を改善する効果があります。
アトピー性皮膚炎の症状を抑える効果も期待されます。

肌の保湿変化
棒グラフ:p<0.01 炭酸泉開始前…約26%→炭酸泉開始1ヶ月後…約31%。肌の保湿が改善

(偕行会グループ26例の調査結果)

偕行会グループの
炭酸泉療法

偕行会グル-プでは炭酸泉を希望する患者様の炭酸泉適否を判断し、主に透析前に足浴を実施しています。
炭酸泉による副作用はありませんが、血流が改善する影響で稀に血圧が下がってしまう場合がありますので、血圧低下が疑われる患者様には、安全管理のために、足浴前後の血圧測定を行います。
また足浴のみならず、炭酸ガス療法も実施しています。炭酸ガス療法は透析中に2 時間程度実施することで、長時間の血流改善効果が期待されます。

  • 炭酸泉足浴

  • 炭酸ガス療法